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タスマニア林業公社の天然林伐採は非持続的と第三者検証グループ。四団体は日本の顧客企業標的の市場キャンペーンを一か月凍結か?

昨年8月7日、オーストラリア連邦政府とタスマニア州政府の間で締結された「タスマニア森林政府間協定(Tasmanian Forests Intergovernmental Agreement: IGA)」ではその20条で、タスマニア大学教授のジョナサン・ウェスト氏をリーダーとする第三者による検証グループ(Independent Verification Group; IVG)が、持続可能な木材産出量、環境保護団体が保護を求める57.2万ヘクタールの保護価値の高い森林の境界線策定などに関して各ステークホルダーに対して評価プロセスを行い、検証レポートを両政府に諮問することが求められていた。その結果がこの3月23日に公表された。

57.2万ヘクタールについては、「提唱されている新規森林保護区の諸々の保護価値に関わる環境保護団体の主張は概ね立証された」と述べているのに対して、現在の、林業公社による天然林伐採量が持続可能でないことがレポートの梗概版冒頭で明確に結論づけられている。仮に新しい保護区が策定されないとしても、タスマニアの州有天然林はIGAの中で確約されている木材供給量の下限すらカバーできないという。

林業公社は現在、タ・アンに対して合板の単板原料として年間26.5万立方メートルの供給契約を結んでいる。その一部は57.2万ヘクタールの森林から採取されている。今回のIVGのレポートによれば、持続可能な伐採量は最大で10.16万立方メートルとされている。こうした事情についてウェスト教授は言う―「林業公社が長期的な持続可能産出量ともくされる二倍のレベルでタスマニアの天然林を伐採することにこだわるとすれば、現在のタスマニア林産業を資源枯渇と市場からの拒絶という途轍もないリスク(excessive risk)にさらすことになるだろう」(3月27日付マーキュリー紙)。

一方、批判の矢面に立たされている林業公社は、ウェスト教授らの検証レポートの科学的な根拠や正当性を否定する発言に終始している。また中立の仲介者として自らウェスト教授を任命したギディングス州知事も今回の諮問を軽視するような発言を行っている。

ウェスト教授らのグループは天然林から脱却して植林材を主体とする供給体制への構造再編が緊急課題と提言しているが、これはヒューオン渓谷環境センター(HVEC)によるタ・アンの告発レポートの主張と同工異曲の提言である。グループは構造再編が合意されるならば、NGOによる市場キャンペーンも停止されるべきだと述べている。

4月2日、HVEC、マーケット・フォー・チェンジ(Markets for Change; MFC)、Still Wild Still Threatened、The Last Standの タスマニアの四団体は、IVGレポートで保護的な価値があらためて裏書された57.2万ヘクタールからの伐採が停止されることを条件にパナソニックや積水ハウスなどをターゲットにしたキャンペーンを一か月という時限で中止することを発表した。HVECとMFCはキャンペーン中止を知らせる書状をタ・アンの木材製品購入企業に送り、57.2万ヘクタールの保護に向けたサポートを要請している。

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