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紙と森林伐採に関するQ&A

 紙の原料は「低質」な木材しか使われていないとか、紙生産と森林減少は関係ないといった、誤解を招く広報が業界などによって行われています。紙は身近な存在でありながら、その原料や伐採による影響については、意外にも正確に理解されていません。以下に、紙と森林伐採に関する基本的な疑問をQ&A形式でまとめてみました。

Q.紙の原料は何ですか?

製品別古紙利用率A.日本国内で消費されている紙・板紙(段ボールや紙箱など)のほとんどは、木材と古紙を原料にして作られています。紙・板紙の原料の57%は古紙で、残りの43%は木材から作られるパルプです。

Q.日本の古紙利用率が高いというのは本当ですか?

A.57%という古紙利用率は世界でも高いものです。ただ、紙と板紙を別々に見ると、板紙の古紙利用率は90%ですが、紙の古紙利用率は32%で、中でも、印刷・情報用紙(21%)や包装用紙(6%)が低くなっています。

Q.パルプは国産が多いというのは本当ですか?

A.パルプは、その約8割が国産パルプであるとされています。しかし、これは日本国内でパルプに加工されたものを指しているだけで、その原料である木材チップの約7割は輸入されているものです。パルプとして輸入されているものと合わせ、紙生産に使われているパルプ全体の約4分の3が海外の原料で作られたものです。


【 製紙原料構成 (2000年)】

Q.パルプの原料は廃材や人工林材が多いというのは本当ですか?

国産パルプの原料内訳A.製紙業界によると、国産パルプの原料の29%が製材残材という丸太から製材を取った残りの部分で、35%が人工林(植林)からのものとしていますが、残りの36%は天然林からのものです。天然林とは、その土地本来の植生が自然に生育した森林で、そこには多様な動植物が生息しています。

Q.天然林は低質なものしか使われていないというのは本当ですか?

A.「低質」というのは、建築用などの製材として使えないという意味で、曲がった木や細い木などを指しています。しかし、曲がった木は輸送時に効率が悪いために、伐採しても林地に放置されることもありますし、建築用材として使える太い木が丸ごと製紙用原料となることもあります。従って、紙原料のすべてが「低質」であるとは言えません。そもそも、自然にとっては「低質」であるわけではなく、国によっては、豊かな生態系を育んでいる原生林(自然のままで人手が加えられていない成熟した森林)が伐採対象となっています。

左:木材チップ工場に運ばれる丸太。右:伐採されて林地に放置された大木(いずれもオーストラリア)

Q.紙の生産と森林減少が関係ないというのは本当ですか?

A.統計上では、農地や牧草地などの他の土地利用に転換されない限り、伐採しても森林が森林でなくなったとはみなされないため、「減少」したことにはなりません。従って、伐採と森林「減少」の関係を論じること自体が間違っています。豊かな生態系を育んでいる原生林が伐採されれば回復するのに百年単位の年月がかかりますし、天然林が伐採されて植林に転換されてしまえば元の生態系は完全に失われてしまいます。伐採された木材の大部分が紙の原料とされている場合もあり、紙生産による森林破壊(森林の「劣化」と言います)は起きています。

森林は伐採されても「減少」とはみなされない

Q.天然林から得られた紙原料はどこの国から輸入されているのですか?

日本の木材輸入(パルプ・チップ)A.天然林から得られた紙原料は、オーストラリア、アメリカ、カナダ、チリから多く輸入されています。中でも、オーストラリア、カナダ、チリでは原生林も伐採の対象となっています。

Q.紙原料の伐採はその国の法制度に従って行われているというのは本当ですか?

A.熱帯諸国を中心に、違法な伐採が横行している国は多いですが、そうした国からの紙原料の輸入はあまり多くありません。しかし、合法な伐採であるからといって、自然破壊でないというわけではありません。豊かな生態系を育んでいる原生林が伐採対象となることもあり、また、天然林の消失も進んでいます。生産国の政府は、現地の産業界や消費国の需要に応えるために十分な保護措置をとっていないというのが現状です。

「合法」な森林伐採の実態

▼原生林の伐採

 →回復には百年単位の年月が必要

▼天然林の植林への転換

 →生態系の完全な消滅

消費国の需要も、生産国の森林政策に影響を与えている

Q.日本の間伐材は紙の原料として使われていないのですか?

A.間伐とは植林した木を育てるために林業に欠くことのできない作業です。資源の有効利用の意味でも間伐材の利用が望まれます。しかし、製紙用原料として利用されている間伐材の量は約60万m3とされており、パルプ用原料の2%にも満たない量です。間伐材が使われない主な理由は、輸入原料に比べて割高であることとされています。紙原料だけの問題ではありませんが、日本の管理された林業からの木材が使われず、海外の天然林伐採が行われているという現実は、社会システムの欠陥と言えるでしょう。

Q.日本人1人当たりの紙の消費量はどれくらいですか?

A.日本人1人当たりの紙・板紙の消費量は年間239kgで、世界第7位です。世界平均53kgの4.5倍、中国(28.3kg)の8.4倍、インド(4kg)の60倍にもなります。1日当たりにすると655gで、A4の紙130枚分(紙分78枚、板紙分52枚)に相当します。2000年の紙・板紙の生産量は、10年前と比べ13.3%増、20年前と比べ76%増、30年前の約2.5倍と増加しています。こうした紙の大量消費が、海外の森林破壊を招いているのです。

国民一人あたりの紙・板紙消費量紙・板紙生産推移

Q.日本で消費される紙を生産するために、何本の樹木が伐採されているのですか?

A.2003年に、紙生産のために消費されたパルプ材(古紙以外の紙の原料)の量は、1874万トンでした。このうち、製材残材と古材を除いた天然林材と人工林材の量は1405万トン、体積にすると約2600万m3です。
 樹木の大きさは様々ですので、これが何本になるかを正確に計算するのは不可能です。仮に、日本で見慣れているスギを想定し、平均的な大きさとして直径22cm、高さ18m、体積0.23m3を用いて計算すると、1年間に約1億1000万本もの樹木が日本の紙生産のために伐採されたことになります。

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