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日本製紙に対する催促文を送付しました。

2015年12月09日掲載

2015年11月24日

日本製紙株式会社
代表取締役社長 馬城 文雄 様
東京都千代田区神田駿河台4-6

熱帯林行動ネットワーク(JATAN)
事務局長 原田 公
東京都新宿区新宿1丁目23-16第二得丸ビル3階

1月28日付ご回答についてのJATANの返答と質問への貴社からのご回答のお願い

拝啓

時下、ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。

昨年の2014年12月22日付で、「日本製紙株式会社による豪州ニューサウスウェールズ州での生物多様性価値を脅かす調達について」を送付させていただき、貴社CSR本部広報室長より、2015年1月28日付の回答を頂戴しました。これに対して、当方より、4月27日に「貴社の1月28日付のご回答についての返答と質問」と題して、「その内容については、私たちが確認している内容と異なる点が見受けられます。その見解とご質問を下記に記します。ついては、再度、ご確認いただき、書面を持ってご回答くださいますようお願い申し上げます。」との書簡を送付しました。さらにその後、7月31日付で、「4月27日付の『ご回答についての返答と質問』での訂正と返答のお願い」を送付し、一部内容の訂正を述べて、8月末を目処にご返答いただけるようにお願いいたしました。しかしながら、8月末までにご返答を得ることはできず、現時点においても、ご返答をいただいていないと認識しております。

一方で、貴社は、国連のグローバルコンパクトに署名しておられます。国連グローバルコンパクトでは、原則7「企業は、環境上の課題に対する予防原則的アプローチを支持すべきである」とあり、予防原則的アプローチを適用する際に企業が講じうる措置として、「ステークホルダーとの間に、先を見越した早い段階で透明性ある相互コミュニケーションを確立し、不確定要素や潜在的なリスクに関する情報の効果的な伝達を確保するとともに、関連で寄せられる問い合わせや苦情に対応すること。」としています。また原則8「企業は、環境に関するより大きな責任を率先して引き受けるべきである」において、環境責任を促進するため、企業が講じうる措置として、「透明性およびステークホルダーとの公平な対話を確保すること」と述べられています。

また、今年導入されたコーポレート・ガバナンス・コードでは、基本原則2.3で、「上場会社は、社会・環境問題をはじめとするサステナビリティ(持続可能性)を巡る課題について、適切な対応を行うべきである。」とし、補充原則で「取締役会は、サステナビリティ(持続可能性)をめぐる課題への対応は重要なリスク管理の一部であると認識し、適確に対処するとともに、近時、こうした課題に対する要請・関心が大きく高まりつつあることを勘案し、これらの課題に積極的・能動的に取り組むよう検討すべきである。」と述べています。

貴社においては、これら規定を遵守し、本課題に真摯に対処していただきたいと考えております。つきましては、2015年12月22日までに、貴社として何らかの回答を送付下さい。よろしくお願いいたします。以下に、訂正した当方による返答と質問を再掲します。
敬具

  1. 日本製紙の「原材料調達に関する理念と基本方針」と森林認証制度について

「オーストラリア林業規準(AFS)を取得し、継続している事実を持って」、貴社グループが「『原材料調達に関する理念と方針』において求める水準に達していると判断しております。」とのことですが、AFSは、その主張とは異なり、持続可能な森林管理が行われていることを示す認証制度とは考えられません。オーストラリアの多くの環境保護団体からは支持されておらず、むしろ「現状追従(business as usual)」のラベルと見られているもので、持続可能性を表す正真の基準とは言えないのではないでしょうか? それは、2014年12月22日付けの当方からの書簡や以下で指摘させていただいているように、統合林業実施合意(IFOA)を含む施業規則についての多くの違反事例があり、貴重種である多くの野生動物すらも、適切な保護措置が実施できていないにもかかわらず、AFS認証を得ていることが示しています 。よって、持続可能な森林経営か否かを判断する上で、AFS認証をツールとして活用することはできないと考えております。現状では、むしろAFS認証は、批判を回避するための隠れ蓑になっているのではないかと疑念を持たざるを得ません。

  2. 伐採施業の承認について

回答において、「森林管理・施業に関する責任はNSW州有林に帰するもので、SEFE社が天然林施業について独自に判断、ならびに実行するものではありません。」と述べておられます。しかし、サウス・イースト・ファイバー・エクスポート(SEFE)社は、森林管理・施業の法的枠組みにとって欠くことのできない部分を構成しています。SEFEの代表が「木材採取計画(Harvest Plan)」を承認し、署名しなければ、伐採は行われません。この「木材採取計画」は伐採施業に対して法的な承認を与える文書です。実際に伐採を行う会社は、州林業公社(FCNSW)ではなく、SEFEの主体的な関与を受けているのです 。伐採の施業請負会社はSEFEの関与のもとで雇用され、「木材採取計画」はSEFEの承認を受けて実施されています。よって、NSW州有林での天然林施業についてSEFEは買い手としての責任のみならず、伐採業者の施業についても責任を担っているのではないでしょうか?

  3. 野生動物の保護について

いただいた回答では、IFOAや絶滅危惧種保全法を通じて「コアラの保護も含めた環境保護が要求されています。また、実際の伐採現場でも伐採計画を認可するEPAが計画どおり伐採作業が行われているか現場監査を行っています」と述べられていますが、そのような規制措置や現場監査が有効に機能しているかどうか、貴重種や野生動物の保護が実現できているのかどうかについての言及はありませんでした。前回の書面で述べているように「州政府でさえ、このルールは機能していないと認めています。2014年初頭、伐採ルールを見直すことが発表され、州政府も、IFOAが失敗であり、野生動物を保護しているかどうかも不明であることを認めています」。
野生動物の保護についての実情は、以下のような状況にあることをお知らせしたいと思います。

A) 絶滅危惧種に関しては甚だしく不十分な保護状況で、ましてや森に生息する野生動物を虐待、ケガ、事故死から守るような手立ては施されていません。その上、これらの規制は厳格な監査を受けたり、遵守の実効性は確保できていません。IFOA について言えば、記録されている違反事例だけでも非常に多数に上ります 。その多くは環境保護局(EPA)によって不遵守(non-compliances)と判断されており、いくつかは罰則や起訴の対象にもなっています。「SEFEでは関連法令が遵守された原材料を調達しています。」とのことですが、このような違反事例に該当するものは調達していないということでしょうか? ご回答下さい。
B) このように野生動物は、現在、IFOAで十分に保護されていませんが、現在進められている「改定」が完了すれば、さらに脆弱になることが懸念されています。お伝えしたように、「コアラの生息地となる森林の大半で、伐採前に実施すべき調査をもはや要求しない」といった改定案も提案されました。「改定」の本当の狙いは業界と政府のコスト削減ではないかとの指摘もあります。貴社では「幅広いステークホルダーに意見を聞くなど、民主的なプロセスに基づいて見直しが進められていると認識」されているとのことですが、業界外部の関係者たちから反対意見が出ていますが、大方は無視されているなどの問題点も指摘されていることをお知らせします。
C) バーマギュイ州有林(Bermagui State Forest)、マンブラ州有林(Mumbulla State Forest)、ムラ州有林(Murrah State Forest)のコアラ生息地では伐採された木材がSEFEに運ばれて製紙用木材チップに加工されてきました。こうした森ではコアラがいるにもかかわらず伐採が強行されてきました。また、コアラが生息していることがわかっているタンジャ州有林(Tanja State Forest)ではいまもなお伐採が計画されています 。伐採される木材の9割以上はイーデンのSEFEチップ加工工場に運ばれているとのことです。

貴社がSEFEから調達している木材は、AFS認証を取得していても、野生動物の管理ではずさんな施業体制の下で伐採された木材です。このような調達では「調達方針に照らし合わせ、購入において問題ない原材料であると判断」する根拠としては不十分と言わざるを得ません。

グレンボッグ州有林のウォンバット
A) 環境保護局(EPA)のウェブサイトでは 、ウォンバットはグレンボッグ州有林での伐採施業で負傷したり死んだりしなかった、などと述べられてはいません。実際には生き埋めになっているとの報道や報告が行われています 。ウォンバット保護協会(Wombat Protection Society)が撮影した、伐採中に死んでしまったウォンバットの証拠画像(図1)が存在します。また、ストレスからくる疥癬(かいせん)で病弱なウォンバットの画像(図2)もあります。
B) EPAは、「通常の」伐採施業ではウォンバットを保護する手段は一切存在しない、こうした事態に取られる措置は「IFOAのもとでは法的な強制力を持たない」と認めています。
C) 伐採施業中のウォンバットはつねに、生き埋めをふくめて死やケガと隣り合わせです。ニューサウスウェールズ州議会で第一次産業相への質疑によれば 、「木材採取計画」(伐採施業の承認を必要とされる文書です)においてウォンバットを伐採から守るための手段が講じられていた唯一の施業例がグレンボッグ州有林の伐採であったことが確認されています。つまり、SEFEに供給される、グレンボッグ以外のすべての伐採施業では、ウォンバットを死やケガから保護する手段はまったくなされておらず、今後もなされる予定はありません。

さて、ご回答では「嫌疑をかけられた業者はSEFEが雇った業者ではありません」とのことですが、州議会の質疑応答で、問題となっている区画2301、2311と2321について、「グレンボッグ州有林の木材伐採に関連するFCNSWの契約は、ブルー・リッジ・ハードウッズとSEFEである。伐採契約業者は、これらの企業によって雇われています(engaged)」と答弁されています 。これについて明確なご説明をいただければ幸いです。

また、貴社の回答にある「ウォンバットが生き埋めになったという事実も確認されていません」という記述は、どのような情報を元にしておられるのでしょうか? お知らせ下さい。

以上

PDFファイルはこちらより

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