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≪エコ住宅建材≫偽装の陰で ―豪州タスマニアで起こっているあらたな森林破壊―

10月4日、タスマニアの住民による森林保護団体、「ヒューオン渓谷環境センター(Huon Valley Environment Centre; HVEC)」は告発レポートBehind the Veneer – Forest Destruction and Ta Ann Tasmania’s Liesの公表に合わせ、以下の内容のプレス・リリースを州都ホバートのサラマンカで行った。

タ・アン・ホールディングス(Ta Ann Holdings; TAT)は、マレーシアに拠点を置く、伐採と木材製品生産を手がける多国籍企業である。TATは過去に、マレーシア・サラワク州で熱帯林破壊と人権侵害という来歴を持っている。2006年1月、タ・アンはオーストラリア唯一の島嶼州、タスマニアに特段の厚遇を持って迎えられた。以来、日本、中国、EUの顧客企業にタスマニアの木材製品を販売するために素材加工を行っている。タスマニアでの事業進出というタ・アンの意図は、「エコ木材」製品で販売攻勢をかけることにある。「エコ」製品が植林もしくは持続可能に管理された「再生林」に由来するとするかれらの喧伝工作はいまのところ奏功しているようだ。

タ・アンがタスマニア進出の決断をしたのはふたつの重要な目的がきっかけであった。ひとつは、州政府が所有する企業体、「タスマニア林業公社(Forestry Tasmania)」が、マレーシアやインドネシアでは調達できない低価格で広葉樹の供給を申し出たことである。ふたつ目は、タ・アンはタスマニアの「クリーンでグリーンなイメージ」が必要だったのだ。それがあれば、環境意識が高く、収益性のよい国際市場にアクセスできるからだ。

TATは植林からの木材を拒否した。将来の社運をかけて引きつづき天然林からの木材調達を選んだのである。業界全体が植林に移行しようとする構造転換の動きには足を引っ張る戦略に出た。TATはいまや、タスマニアの比類のない天然林の伐採で林産業界を牽引する役割を担っている。TATは、タスマニアの世界有数の天然林の破壊に由来する木材を調達している。その中には、オールド・グロス林や世界遺産と同価値と認識されている森林、その他の保護価値の高い森がふくまれている。

「ヒューオン渓谷環境センター(Huon Valley Environment Centre; HVEC)」はオンサイト調査を実施し、情報公開請求権(Right to Information)にもとづいてドキュメントを確保し、住民コミュニティはもとより地域の林業従事者からも一次資料を入手して、タ・アン自らの主張とは裏腹に、会社がタスマニアのオールド・グロス林や保護価値の高い森林をふくむ天然林の非持続的な採取を加速させている実態を明らかにした。

さらに、HVECが入手した証拠によれば、レポートの中で詳述しているように、タ・アンは顧客企業を欺き、その海外市場で「エコ合板」などと製品を偽装して喧伝している。そしてタスマニア州、連邦の両政府は、こうした虚偽表示を事情を知っていながらサポートしていることから、国際的に知られているオールド・グロス林や保護価値の高い森林の破壊を許容しているといえる。

タスマニア政府はタ・アンに対する木材供給契約を立法化することを表明しているが、これは、現在もつづいているタスマニアの森林破壊にお墨付きを与えるものだ。2011年8月現在、検証結果が出るまで保護価値が高いと同定された森林の伐採を停止する公約が両政府からなされている。しかし、HVECは、保護が確約されているエリアの内部で伐採施業が最近はじまった事実をつかんでいる。このオールド・グロス林由来の木材はタ・アンに供給される。

ヒューオン渓谷環境センター
ジェニー・ウェバー

HVECによる告発レポートのオリジナルはつぎのサイトで閲覧できる。
HVEC: Behind the Veneer

レポートの関連サイトは以下(英語)。
www.sarawakreport.org/2011/10/truth-in-advertising-ta-ann-exposed/

ジェニー・ウェバー氏はJATANおよびレインフォレスト・アクション・ネットワーク日本代表部(RAN Japan)とともに、日本側の関連企業を訪問した。これに合わせ、JATANでは同レポートの日本語抄訳を公表した。

(日本語抄訳)「環境に良い」フローリング材、原料はどこから?-タスマニアの原生林由来の輸入合板

タ・アンに木材を供給されるために伐採されたオールド・グロス林。場所はタスマニア島の、文字通り、“Far South”と呼ばれる最南部のカタマラン(Catanaran)エリア。林業公社による伐採地コード名は、CM019C、CM019Eおよび CM019A。伐採は世界遺産地域、「タスマニア原生地域」の50メートル手前まで進められている。
永大産業が販売しているフローリング材「エコメッセージ」
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